なぜデスクワークで首・肩・腰が痛くなるのか?

毎日パソコンに向かうお仕事をされている方から、「首が痛い」「肩がガチガチ」「腰が重だるい」というお悩みを頻繁にお聞きします。実は、デスクワークによる首・肩・腰の痛みには、明確な医学的メカニズムが存在するのです。今回は、なぜデスクワークの方にこれらの症状が起こりやすいのか、接骨院の視点から詳しく解説いたします。

長時間同じ姿勢が引き起こす「筋肉の緊張」

デスクワークの最大の問題は、長時間同じ姿勢を維持し続けることにあります。人間の体は本来、動き続けることを前提に設計されています。しかし、パソコンに向かって座り続けると、姿勢を保持するための筋肉(姿勢保持筋)が常に緊張状態を強いられます。
特に首や肩周りの筋肉、腰部の筋肉は、座位姿勢を維持するために休むことなく働き続けています。この「ずっと力を入れ続ける」状態が、筋肉の疲労と硬直を引き起こす最初の原因となるのです。通常であれば、立ったり歩いたりすることで筋肉の緊張と弛緩のバランスが保たれますが、デスクワークではその機会が大幅に減少してしまいます。

血流の悪化が痛みを生む悪循環

筋肉が長時間緊張し続けると、次に起こるのが「血流の悪化」です。硬く緊張した筋肉は血管を圧迫し、血液の流れを妨げてしまいます。血液には、筋肉に酸素や栄養を届け、疲労物質や老廃物を回収する重要な役割があります。
座った姿勢では、股関節が90度に折れ曲がった状態が続きます。この状態では、上半身と下半身をつなぐ太い血管が圧迫され続け、全身の血液循環が悪化します。さらに、ふくらはぎの筋肉には血液を心臓へ送り返す「ポンプ機能」がありますが、座りっぱなしではこのポンプがほとんど働きません。
血流が悪くなると、筋肉に疲労物質が蓄積し、筋肉はさらに硬くなります。硬くなった筋肉はさらに血管を圧迫し、血流がより悪化する―こうして、「筋肉の緊張→血流悪化→さらなる筋肉の硬直」という負のスパイラルが形成されてしまうのです。この悪循環が、慢性的な首・肩・腰の痛みの正体なのです。

前かがみ姿勢が首に与える深刻な負担

デスクワーク中、多くの方は自然と前かがみの姿勢になってしまいます。パソコンの画面を見るために、頭が前に突き出た姿勢、この姿勢が首に与える負担は想像以上に大きいものです。
人間の頭部の重さは約4〜6kgと言われています。正常な姿勢であれば、首の骨(頸椎)が持つ自然なカーブがクッションの役割を果たし、この重さを効率的に支えることができます。しかし、頭が前に出ると、首の筋肉だけで頭部の重さを支えなければならなくなります。頭が正常な位置から前に5cm出るだけで、首にかかる負担は2〜3倍に増加すると言われています。
この状態が長期間続くと、「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。本来あるべき頸椎の自然なカーブが失われ、首の骨がまっすぐに伸びてしまう状態です。ストレートネックになると、首や肩の筋肉への負担がさらに増大し、頭痛やめまい、腕のしびれなどの症状を引き起こすこともあります。

猫背が肩と腰に与える連鎖的な影響

前かがみの姿勢は、猫背も引き起こします。背中が丸まった猫背の姿勢では、肩甲骨周辺の筋肉が常に伸ばされた状態になり、慢性的な緊張を生みます。また、胸の筋肉は縮こまり、呼吸が浅くなることで全身への酸素供給も不十分になります。
さらに重要なのは、猫背が腰痛の原因にもなるという点です。人間の背骨は本来、首・背中・腰にかけて美しいS字カーブを描いています。このS字カーブが、重力や衝撃を分散させるクッションの役割を果たしているのです。
しかし、猫背になると、この自然なS字カーブが崩れてしまいます。特に腰部では、本来前方に湾曲しているカーブ(腰椎の前弯)が減少または消失し、腰椎や腰部の筋肉、椎間板に過度な負担がかかります。さらに、猫背の方は骨盤が後ろに傾く傾向があり、座骨ではなく仙骨に体重がかかる「仙骨座り」になりがちです。この座り方は、腰部への負担を極端に増加させます。

運動不足による筋力低下も見逃せない要因

デスクワークの方は、日常的な運動量が不足しがちです。運動不足は筋力の低下を招き、特に姿勢を支える体幹の筋肉や下半身の筋肉が弱ってしまいます。筋力が低下すると、正しい姿勢を維持することがより困難になり、さらに悪い姿勢に陥りやすくなるという悪循環が生まれます。 
また、筋肉量が減ることで、血液を全身に送るポンプ機能も低下します。これにより、血行不良がさらに悪化し、冷えやむくみ、慢性的なだるさなども引き起こされます。

デスクワークによる痛みを予防・改善するため

これらのメカニズムを理解すると、デスクワークによる首・肩・腰の痛みが、単なる「疲れ」ではなく、明確な原因に基づく症状であることがわかります。当接骨院では、これらの痛みに対して、以下のようなアプローチをご提案しています。
まず、硬くなった筋肉をほぐし、血流を改善するために、手技療法電気療法などを用いて、筋肉の緊張を緩和し、次に状態によって、①全身骨格矯正②肩甲骨はがし(OFR)③猫背改善治療の自費メニューも組み合わせて行う事もございます。また、施術だけではなく、正しい姿勢の指導や、デスクワーク中にできる簡単なストレッチ、適切な作業環境の整え方などもアドバイスいたします。
重要なのは、30分〜1時間に一度は立ち上がり、軽く体を動かすことです。また、椅子に深く腰掛け、背もたれで体をまっすぐに支え、足裏全体が床に接する座り方を心がけましょう。パソコンのモニターは目線の高さかやや下に設定し、首が前に出ない位置に調整することも大切です。 
デスクワークによる痛みは、放置すると慢性化し、さらに深刻な症状を引き起こす可能性があります。「いつものこと」と我慢せず、早めにご相談ください。那覇天久新都心接骨院では、お一人おひとりの症状や生活習慣に合わせた、最適な施術とアドバイスをご提供いたします。身体の痛みから解放され、快適なデスクワークライフを取り戻しましょう。